仙台市長が国へ石炭火力の規制要望 市としても毅然とした対応を!

6月29日、奥山恵美子仙台市長が環境省と経産省を訪れ、石炭火力発電所の建設を抑制するよう求めました。要望書(ページ下部に転載)のなかでは、石炭火力発電所の建設をめぐる情勢を問題視し、現行法の環境アセスメント制度が計画を中止させる機能を持たないために、計画の実施が事業者の判断に委ねられていることを指摘しています。

石炭火力発電の建設は、すでに許される状況ではない

現在日本国内には43基、計2,043.3万kWの石炭火力発電所建設計画があり、これらが全て稼働すれば、年間で約1億2千万tものCO2が排出されることになります。もちろん仙台で進行中の2つの計画もここに含まれています。

日本ではこのままではどんどんと石炭発電所の建設ラッシュが加速していきそうですが、世界に目を向けると流れは全く逆です。

2016年11月にはパリ協定が発効し、脱炭素化に向かう潮流はますます強まっています。その中でも石炭火力発電にはとりわけ厳しい目が。研究機関Climate Analyticsは、パリ協定の目標を達成するためには、日本を含む豊かなOECD諸国は2030年までに石炭火力発電所をゼロにしなくてはならないと報告しています。またすでにフランスは2023年、イギリスは2025年、カナダは2030年までに石炭火力発電を全廃する方針を発表しました。

気候変動対策は喫緊の課題で、石炭火力発電所を建設すること自体が許されない状況です。今回、市長が石炭火力発電を問題と捉えていることは、歓迎すべきことです。しかし市としては、国内外の状況を鑑み、国に頼るのではなく、もう一歩踏み込んで石炭火力発電に反対する市独自の姿勢や規制を強く打ち出すべきでしょう。

市として環境アセスメントの中でできること

条例のアセスメントにおいては「個別事案に対する環境配慮を最大限求めるにとどまるところ」とありますが、事業を中止させる権限がないからといって、事業実施ありきで意見を述べなければいけないということではありません。

法に基づくものではありますが、過去の環境アセスメント事例を見ると、石炭火力発電所計画に対して厳しい意見を出している首長はいます。例えば2008年、当時の福島県知事は、小名浜火力発電所(石炭、20万kW×2基)に対し、新設する必要性やCO2排出量の少ないLNGを選択しなかった理由を問い、2050年に温室効果ガスを80%削減するという国の目標などとの整合していないとして、燃料の転換を含めた検討の経緯と結果を示すよう意見を出しています。この計画はのちに中止となりました。

また今年の3月には、神奈川県知事が横須賀火力発電所計画に対して、石炭を燃料とした理由が十分に説明されないまま計画が進んでいくことや事業者の対応に「強く懸念せざるを得ない」としています。

これら先例を見ても、そもそも市としてできることが十分にやり尽くされていないと言えるでしょう。仙台市は、国の目標との整合性や国が関与する仕組みになっていないことなど、「国」の影に隠れず、市として毅然とした意見を述べるべきです。

奥山仙台市長は今期を最後に退任することが決定しており、7月23日には新たな仙台市長が選ばれます。市長が変わっても石炭火力発電の問題は変わりません。仙台パワーステーションと仙台高松発電所はすぐに計画を撤回するべきです。

 

(以下、要望書転載)

杜の都の豊かな環境の保全

・石炭火力発電所に係る建設計画の状況は、国のエネルギー基本計画に基づくエネルギーミックス(電源構成)及びパリ協定に基づく温室効果ガス削減目標(以下、「国の削減目標等」という)に対して、すでに整合を欠きかねない危機的状況にある。

・環境影響評価法の対象に係る事案(出力11.25万キロワット以上)については、国の削減目標等との整合をチェックする仕組み自体はあるものの、整合を欠く場合において、事業計画を中止させる等の調整機能を有していない。また、平成29年3月の千葉市での事案に対する環境大臣意見も「石炭火力を巡る環境保全に係る国内外の状況を踏まえ、事業実施の再検討も含め、十分な検討を求める」との意見にとどまっており、事業を中止するか否かは、事業者の自主的判断に委ねられている。

・環境影響評価法の対象とならない事案については、本市においては環境影響評価条例の対象としているが、個別事案に対する環境配慮を最大限求めることにとどまるところであり、国内全体の中で議論すべき国の削減目標との整合を、本市がチェックすることは困難である。また、温室効果ガスのみならず、排出ガスなどによる立地地域の周辺環境への影響に対する市民の不安に対して、国が積極的に関与する仕組みとなっていない。

・ついては、以下のとおり要望する。

要望項目

  1. 石炭火力発電所に係る建設計画について、国の削減目標等との整合性や立地地域の環境保全を国が適切にチェックし、それらが実効性をもって確保されるための仕組みを構築すること
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