仙台・石炭火力発電所計画の問題

このページの最後に、仙台港の石炭火力発電所建設問題についてまとめたパンフレットを掲載しています。
パンフレットには、(仮称)仙台高松発電所計画の事業者として四国電力が掲載されていますが、同社は2018年4月10日に計画からの撤退を表明しました。また、6月1日、住友商事は、どう計画をバイオマス専焼への変更することを発表しました。

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質問:あなたにとって大切だと思うものは何ですか?あてはまるものすべてに チェックをしてください。

□ きれいな空気        □ 健康      □ 美しい自然・生きもの
□ 安心して暮らせる地球環境  □ 被災地の復興  □ その他(             )

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仙台港の2 つの石炭火力発電所は これらすべてを脅かします。

□ きれいな空気

現在の技術でも窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)、水銀にPM2.5 など、まだたくさんの大気汚染物質を排出します。

□ 健康

上記のような大気汚染物質は、排煙浄化装置をすり抜けて大気中に放出されてしまいます。
そして肺や血管に入りこんで人々のからだを傷つけます。

□ 美しい自然・生きもの

大気汚染物質の影響を受けるのは、動物や植物も同じ。仙台港のほど近くには、東日本大震災 の被害から元の姿を取り戻しつつある蒲生干潟がありますが、石炭火力発電所はこの貴重な自然を 危機にさらそうとしています。

□ 安心して暮らせる地球環境

異常気象をはじめとする気候変動の影響はすでにあちこちで現れ、一刻も早くCO2 削減を進める 必要があります。石炭火力発電は化石燃料による発電の中で最もCO2 排出量が多く、その量は天然 ガスの2 倍以上。人間が安心して暮らすための環境を壊します。 詳しくはP8 ヘ

□ 被災地の復興

仙台パワーステーション(以下、仙台PS) の親会社は関西電力と伊藤忠、(仮称)仙台高松発電所(以 下、仙台高松)は四国電力と住友商事です。作った電気は首都圏に売電すると報道されています。「電 気は東京へ、お金は県外へ、汚染は仙台へ」という構図なのです。事業者は復興支援と謳っていま すが、環境を汚す施設が被災地に立地するのは「汚染施設建設に頼る復興」の悪しき先例になりま す。これは、市民の望む復興の形ではありません。

□ その他(情報公開、企業の誠実な姿勢)

11.25 万 kW 以上の火力発電所を建てる場合には、周辺への環境影響調査や住民への説明を行 う環境アセスメントが環境影響評価法で義務づけられています*。しかし、仙台PS は対象規模を わずかに下回り、さらに計画当初は仙台市の条例では火力発電所は環境アセスメントの対象ではな く、アセスメントを行っていません**。これを盾に仙台PS は、「法律に則っている」と住民の説明会 開催の要望に応じないまま着工。住民は事業の詳細を知ることができませんでした。市民は計画が 報じられてから何度も説明会開催を呼びかけ、操業中止を求める署名には4 万7 千筆以上が集まり、 環境大臣は名指しで仙台PS に対して批判的なコメントをする事態になっています。それでも仙台PS は、反対の声を完全に無視して営業運転に至りました。情報をひたかくしにし、企業としての誠実な 姿勢が見えません。(仮称)仙台高松発電所は、条例による環境アセスメントを行なっていますが反 対が多いのは同じです。市民の声を聞き、計画の撤回をすることが求められます。

*11.2 万~ 15 万kW の場合は個別に判断。

** 現在では、仙台市における全ての石炭火力発電所計画が環境アセスメントの対象になっています

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小規模火力発電なのにそんなに大気が汚染されるの?

今でも大気汚染物質があるのに、石炭火力発電所のばい煙が加わります。

仙台港近辺では、現在でも車や工場煤煙などによる窒素酸化物(NOx)、 オキシダント、 PM2.5 が存在します。そこにNOx や硫黄酸化物(SOx)、浮遊粒子状物質(SPM)、PM2.5、ばいじん、オゾン、水銀などの大気汚染物質を排出する石炭火力発電所が建設されれば、大気がさらに汚されることになります。特に仙台PS は、他の同規模の石炭火力発電所と比較してばいじんや硫黄酸化物の排出量が多いことがわかっています。これらの大気汚染物質は健康被害を引き起こす原因となり、また蒲生干潟をはじめとする生態系への影響も懸念されます。

健康影響はどれくらい深刻?

死亡リスクや呼吸器、循環器疾患、心筋梗塞のリスクを高めると言われています。

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二つの発電所で年間計約57 万t の石炭が使われる予定ですが、 石炭の種類は明らかにされていないため、どの程度の大気汚染物質が排出されるか予測困難です。環境省の資料では、大規模発電所よりもむしろ小規模なものの方が排出濃度が高くなると報告しています。PM2.5 は人間の髪の毛の太さの1/30 程度とごく小さいゆえに排煙装置も通過しやすく、肺や血管にも入りこみ、呼吸器系疾患、循環器系疾患、肺がんなどの罹患リスクを高めて、それらによる死亡率を高めると言われています。

小さいので長く大気中にとどまり、広範囲に広がります。健康被害はいったん発生すると深刻な影響を生じさせたり、二度と健康なからだを取り戻せなくなる可能性もあります。仙台PS 近辺では、現在でもPM2.5 が1日平均の環境基準 35 μ g/m³ を超えることがあります。ここに石炭火力発電所からの排出が加われば、近隣住民への影響が増すことが懸念されます。

蒲生干潟にも影響が出ますか?

発電所から蒲生干潟までわずか1km前後。大気汚染物質による生物への影響が心配です。

蒲生干潟は渡り鳥の飛来地としても知られ、 市民に親しみ深い憩いの場です。東日本大震災の津波で海と潟湖の間にあった砂洲が破壊されましたが、3 ヶ月後には以前と同じような形で再生しました。消えてしまったままの生きものもいるものの、震災前には100 種ほどが記録されていた底生動物 ( 貝やカニやゴカイの仲間) が、 震災直後に減少したものの2015 年までに124 種が確認できるほどに回復し、全体的に見て多様性は保持されています。 こうした底生動物は魚や水鳥たちの大事な食べもの。多様性が失われれば、そこから生態系がボロボロと壊れてしまいます。事業者側は、「大気汚染物質の影響はない」としていますが、その根拠となるデータは明らかにされていません。

東日本大震災からの復興の象徴 奇跡の蒲生干潟

干潟の役割

干潟の特徴は、①潮の満ち引きがあること、②海水と河川水が混ざって塩分が変化すること、③水深が浅く太陽光は底まで届くこと、④傾斜がゆるく流れがゆるやかなこと、⑤底土がやわらかく生物が巣穴を掘ることができることなどです。こうした特徴のおかげで多くの底生動物がすみ、魚やイカなどにとっては子どもを育てる保育所となり、シギ・チドリ類にとっては渡りの途中で羽を休めてエネルギーを補給するための国際空港となります。また、底生動物たちは、川や海からもたらされる汚れ( 有機物など)を食べたり分解したりする浄化槽の役割もあります。他にも、私たちは、アサリの潮干狩りやバードウォッチングをしたり、カニを探して遊んだりします( 環境教育)。こうした干潟がもたらしてくれる様々な恵みのことを「生態系サービス」と呼びますが、これを賢く利用し、将来の世代に 引き継いでいかなければなりません。

世界に誇れる重要な干潟

蒲生干潟は、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区、仙台湾海浜県自然環境保全地域に指定されているほか、日本の重要湿地にも選定されています。現在、多くの底生動物が生息するようになってきており、シギ・チドリ類やコクガンも震災前と同じように訪れています。しかし、種による差が大きく、草地や海岸林を生息地とする小鳥類は大きく減少しています。また、失われたヨシ原や砂浜植生は数カ所で芽吹いているもののまだ限定的です。このように、蒲生干潟は、まだ回復途上にあるといえます。私たちは、力を合わせて、大都市の近郊にありながら多くの生きものを育む自然豊かな海辺の景観を代表する蒲生干潟を、「杜の都」の象徴的な存在として、守り伝えていく必要があるのです。

小規模でも地球温暖化への影響は大きいのですか?

二つの発電所から排出されるCO2 は推定年間約114 万トン、約33 万世帯の家庭からの排出量に匹敵。大量のCO2 を長年排出し続けることは温暖化をさらに進めます。

人間が化石燃料を燃やしてCO2 を大気中に放出してきたことが原因で、地球の平均気温が急激に上昇しています。地球温暖化は、北極海や氷山の海氷、干ばつ、台風の巨大化などを引き起こすといわれています。すでに海外だけでなく日本でも平均気温が上昇し、猛暑日や熱帯夜が増え、冬日は減少。熱波や集中豪雨など異常気象は多発しています。石炭火力発電は、化石燃料の中で最もCO2 排出量が多く、最新型の設備(超々臨界圧:USC)でも天然ガスの2 倍以上を排出。世界でも日本国内でも、最も大きなCO2 排出源となっています。さらに仙台PS と(仮称)仙台高松発電所は11.2 万 kW ですが、この規模は「 亜臨界圧(Sub-C)」 という 1950 年代の効率が悪い旧式の技術が使われるとみられます。

「パリ協定」で世界は自然エネルギー100%の時代へ

パリ協定とは

「パリ協定」は、世界全体の気温上昇を 1.5°C から 2°C 未満に抑えることなどを決めた地球温暖化対策のための新しい国際ルール。2015 年12 月、パリで行われた気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択され、2016 年11 月4 日に発効しました。今世紀後半、早ければ2050 年頃までに温室効果ガス排出を世界で実質ゼロにすることをめざしています。温室効果ガスを大量に排出してきたこれまでの社会のあり方を変え、世界が脱炭素社会に向けて舵を切ることを決定づけた画期的な協定です。

脱石炭のうごき

化石燃料はもう地中から掘り起こして燃やしてはいけない時代にあり、特に大量の CO2 を出す石炭を使うのは、すぐにやめなければいけません。 すでに英国は 2025 年に、フランスは 2021 年に、カナダは 2030 年に今稼働している石炭火力発電所からを撤退することを表明しました。また、世界の大手銀行や金融機関が相次いで化石燃料関連の事業への投資を引き上げる動き「ダイベストメント」が進んでいます。その動きは既に世界 831 機関となり、運用総額は全世界で6 兆米ドル( 約660 兆円) にのぼると言われています(2018 年2 月現在)。CO2 の排出削減が強化されれば化石燃料関連事業の資産や、炭素集約型事業への投資そのものの価値が下がっていきます。このようなリスクを抱える資産は「座礁資産」と呼ばれ、世界的に投資行動が変化しつつあるのです。

代わってエネルギーの主役になりつつあるのが自然エネルギーです。2015 年には、世界の発電への投資額の約70% が再生可能エネルギーに対するものでした。普及が進むにつれて価格が下がり、それによってまた普及が進みます。バンクーバーやコペンハーゲン、ハンブルグなどの都市やグーグル社、アップル社などは将来的に自然エネルギーで全てのエネルギーをまかなうことを宣言しています。自然エネルギー100% の未来は、今や手の届くところまで来ています。

日本は逆行、全国で50 基もの石炭火力発電所建設計画

日本では2012 年以降、仙台港の2つの計画を含めて大規模・小規模の石炭火力発電所建設計画が計50 基も発表されました。大規模な火力発電所は環境アセスメントを実施することになっているため、現在環境アセスを実施している計画が多数あります。一方で、アセス法の対象外である11.25万kW 以下の小規模火力発電設備は、工事や稼動がはじまっているものも。残念ながら日本のこうした状況は、国内で日本が温暖化対策に「先進的な国」だと信じられているのとは裏腹に、世界に大きく遅れをとっています。日本は今や“ 舵を切れない国” だと世界から厳しい目で見られています。

仙台港の石炭火力発電所をめぐるこれまでの経緯

これまでの事業者や行政の動き、それらに対する市民の活動については「これまでの経緯」のページをご覧ください。

仙台パワーステーション操業差止め訴訟

2017 年9 月27 日、地元住民を始めとする124 名の宮城県民は、仙台パワーステーション(株)に対して裁判を起こしました。同社は計画当時に仙台市の条例で義務づけられていなかったために環境アセスメントを行わず、事業の詳細を住民に伝えることなく着工し、2017 年6 月には試運転を開始しました。原告団はこれまでみてきたような石炭火力発電の諸問題に加え、仙台PSの一貫した住民軽視の姿勢を問い、操業差止めを求めています。これは、単一の石炭火力発電所に対する日本初の訴訟として、国の内外から注目されています。

特設ウェブサイト で最新の情報をご覧ください。

あなたができること

<15分でできること>

● 事業者のウェブサイトから問い合わせや反対の意見を伝えるメールを送る
● 仙台市電子申請「市民の声」から、仙台市へ石炭火力発電所への厳しい対応を求める意見を伝える
● 問題についてSNS で広める
● 仙台港の石炭火力発電所建設に関するパンフレットを知り合いに渡す

<1時間でできること>

● 環境アセスメントへ意見を書いて投函する
● 銀行に行って活動への寄付をする

<仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会寄付口座>
仙台銀行 本店営業部 普通0066195
仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会 代表 長谷川公一

<裁判専用寄付口座>
七十七銀行 芭蕉の辻支店 普通預金 5013245
仙台PS操業差止訴訟弁護団 会計 佐藤靖祥(ヨシヒロ)

<3時間でできること>
● 学習会に参加する
● 学習会を企画する
● 仙台PS 訴訟の傍聴をする

私も応援しています!

オノ氏写真(こちらを使用)

ケンタロ・オノ 一般社団法人 日本キリバス協会・代表理事

1977 年宮城県仙台市生まれ。1993 年にキリバス共和国に単身で高校留学し、高校卒業後も同国に在住。2000 年にキリバス共和国に帰化。キリバス商工会議所会頭、キリバス開発銀行理事、キリバス外務省顧問、アノテ・トン大統領私設政策補佐官などを歴任。2011 年から日本在住。前キリバス共和国名誉領事兼大使顧問。

「愛の反対とは憎しみではなく、無知と無関心」という格言があります。
この問題は、地球温暖化の最前線にいる私達キリバス人の将来に、更に大きな暗い影を投げかけます。私の生まれ故郷である仙台が、私の国キリバスの子供たちの将来という喉元にナイフを突きつけています。ぜひこの問題を知って下さい。関心を持って下さい。皆さんの愛を期待しています。

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質問:あなたにとって大切だと思うものは何ですか?あてはまるものすべてに チェックをしてください。

☑︎きれいな空気        ☑︎ 健康      ☑︎ 美しい自然・生きもの
☑︎ 安心して暮らせる地球環境    ☑︎ 被災地の復興    ☑︎ その他(情報公開、企業の誠実な姿勢)

だから、私たちは立ち上がりました。あなたも、一緒に!

仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会

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仙台港の石炭火力発電所の問題点をまとめたパンフレットは、以下から自由にダウンロード・印刷・配布していただくことができます。まとまった部数がご入用の際は仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会に、部数と送り先をご連絡ください(2018年版のみ。2017年版は在庫がありません)。なお、今後の活動費用に充当するため、できるだけ一部100円程度のカンパをいただければ大変ありがたいです。

<振込先>
銀行名:仙台銀行 本店営業部
口座番号:普通0066195
口座名義:仙台港の石炭火力発電所建設問題を考える会 代表 長谷川公一
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パンフレット(2018年2月改訂版)

 

 

 

 

 

 

 

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パンフレット(2017年2月版)

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